同僚には内緒にしているものの 実は、超お嬢様な女刑事の宝生麗子。 大企業の御曹司であることを 隠そうともしない上司・風祭警部のもと 今日も今日とて殺人現場にかり出されている。 そんな彼女の家で働きはじめた執事・影山。 完璧な執事でありながら「探偵になりたかった」らしい彼は、 麗子がうっかり事件について話した内容から 独自の推理を女主人に語って聞かせる。 「失礼ながらお嬢様…この程度の真相がお判りにならないとは、 　お嬢様はアホでいらっしゃいますか」 ぎゃはは（笑）出たよ、チョー慇懃無礼！ でも、その推理はバッチリ的を射ておりまして。 回が進むにつれ（短編集です） 麗子も影山をアテにし出すのよね。 キャラクターの造形はコメディなんだけど、 事件そのものは密室あり、ダイイングメッセージありと 正統？ミステリが取りそろえられています。 毎回お嬢様に投げつけられる罵詈雑言が違うので、 それもちょっと楽しみになってきた！

「大変失礼ながら、お嬢様の単純さは、 　まさに幼稚園児レベルかと思われます」 慇懃無礼な毒舌セリフにお嬢様が慣れてきたものの、 さらに上をいく素晴らしき言語能力の執事（笑） ただ、前巻同様、トリックそのものはわりかし真面目。 またまた密室あり、アリバイ偽証あり。 私の好みはセレブなパーティの殺人未遂事件のやつかな。 謎がとかれた時はお嬢様同様「え〜!?」と思ったけど、 読み直してみると、ちゃんと伏線が張ってあったのに気づいた！ ちなみに最後の書き下ろしで 「安楽椅子探偵モノのルール」違反の要求をし、 ついに小説の影山もお嬢様とともに事件現場に乗り込みます。 もちろん、今回ばかりは現場で確認しないと 解決しない謎があったからなんですけどね〜。 もう１冊くらいはネタ出し続けられそうな気がするので、 来年まで楽しみにするといたしましょう。

２巻の感想のときに 「もう１冊くらいはネタ出し続けられそうな気がする」 と書きましたが、本当にそんな感じ。 ラストは「続きも書けるけど、とりあえずこのへんで」 …っぽく締めてます。 「お嬢様、いま少しばかり脳みそを 　ご使用になられてはいかがでございますか」 な〜んていう執事の毒舌セリフに 返すリアクションがどんどん派手に？なる麗子お嬢様。 今回も毒殺あり、アリバイトリックあり、 怪盗からの挑戦状あり。 私の好みは最後の富豪殺人事件のやつ。 妻子や血縁の女性と同居する富豪の男性が撲殺された事件。 遺産をめぐっての争いかと思わせて実は… みたいな話が面白かったです。