この著者のミステリは、後味が良くて好き！ しかも前に読んだ『切れない糸』と同じ商店街が舞台のようで、 最初の話の中に、あの話の主人公が 茶飲み話のネタとして使われているシーンがあります。 ちょっと読者心をくすぐる演出だわ。 高卒フリーターの杏子は、 デパート内にある和菓子屋のバイトを始めたのだが、 一緒に働く仲間たちは一癖あるようなメンバーばかり。 デキる女なのに、あることが絡むと豹変する女店長・椿さん。 遅番バイトの女子大生・桜井さん。 そしてイケメンなのに愛想のない和菓子職人志望の立花君。 しかし、お客様と和菓子が謎を呼ぶとき、 かれらは少しずつチームになっていくのだ…。 って、別にケンカとかしてるわけじゃなくて、 不慣れな杏子がだんだん溶け込んでいくからなんですけどね。 ちなみに、そんな彼女に「杏だからアンちゃん」と名付けたのは 実は…ぷぷぷ…な性格の立花君でーす。 さて、全５話からなる連作短編。 不思議な買い方をするお客様、意味深な言葉を残すお客様、 デパートならではの他店舗との事件などなど…。 日常の謎系なので、ちっとも血なまぐさくないし、 和菓子に関する知識まで勉強できて、楽しかった！ この中に出てきた「水無月」という和菓子が食べたくなって、 さっそく買ってきちゃいました！