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★作者 | 桂望実 |
| ★出版社 | 小学館 | |
| ★データ | 2004年4月刊 | |
| ★ISBN | 4-09-386133-1 | |
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これね、途中までは『階段室』に入れるつもりだったんですよ。 母親を亡くしたばかりの小学生・隼人が、忙しい父親とか、 まだ幼くて母の死を理解できない弟・直也、母親のかわりをしようとする叔母・美佳、 そして偶然知りあった偏屈な靴職人の老人・栄造との関わりの中で、 それを乗り越えていく…っていう内容が、ヤングアダルトに合うんじゃないかと思って。 ところがどっこい〜。 確かに隼人クンの成長譚なんだけど、 同時に人とコミュニケーションを取るのがヘタな栄造じーさんの 成長譚でもあったんですわ！ それで、じーさん視点の語り口の方により魅力を感じたため、 『一般室』入りとなりました。 長年、靴作りに命をかけてきた栄造じーさんは、 隼人クンと出逢った時、極度のスランプに陥ってます。 じーさんは、ずっと人に頼らず生きてきて、これからもそうだと思ってる。 だからこそ、たまたま見かけた隼人クンも、今まさに頼るものなく “ピンと張った糸みたいに”張りつめて生きているのに気がついてしまう。 「ガキはガキで大変なもんなんだな」 そういう栄造じーさんの心に隼人クンもまた魅かれる。 弟が寂しくないようにって、めっちゃ頑張ってるのは、 実は自分が寂しいのをごまかすためなんだよね。 でも寂しいって言ったら「お父さんが困る」から…。 この隼人クンの揺れる気持ちもすごくいいです。 特にあれこれ面倒を見てくれる叔母さんを「お母さんの位置を取ってしまう嫌なひと」 としてしか見れなくなっていくところとか。 ちなみにこういう話だと 「栄造じーさんのスランプ脱出の鍵は隼人クンでした」ってなりそうなもんですが、 違うんだな〜。 まぁ、間接的には隼人クンが呼び込んだ縁かもしれないけどね。 その解決の仕方も、私好みでした。