しをんさん、お仕事もの、うまいなぁ！ 前に社史編纂室のやつを読んだけど、今回は辞書編集部。 辞書って、実際にも何年もかかって作るものだから、 この物語も長〜いスパンで語られます。 チームのひとりである真面目なマジメ君（本名が馬締）が 辞書編集部に連れてこられて、その仕事にのめり込み、 途中、先輩が違う部署に異動になったり、 企画自体が頓挫しそうになったり、 自分の恋に奔走したりしつつも ついに出版にこぎつけるまでを描いた１冊。 いつもながら、周りの人々も実に愛すべきキャラ。 チャラいだけかと思ったら ちゃんと仕事に愛のある先輩を筆頭に 自分が全うできなかった仕事を完成させるため、 尽力をおしまないOB社員や、辞書愛あふれる監修教授、 そしてマジメ君のマドンナ嬢に、下宿のおばあちゃん。 他にも辞書用の印刷紙作りに燃える若者なんかも。 みんな、各々の仕事に取り組んでいる姿が愛おしい！ 最後まで読んだあと、あらためて表紙カバーの装幀をながめると うっすらと涙すら浮かんでしまいました。 言葉の大海を進みゆく舟なんだなぁ。