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★作者 | 宮部みゆき |
| ★出版社 | 新人物往来社 | |
| ★装幀 | 装丁：高橋寿貴、カバー・表紙装画：北村さゆり、題字：北村宗介 | |
| ★データ | 2005年6月刊 | |
| ★ISBN | （上）4-404-03257-9 | |
| （下）4-404-03258-7 | ||
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漁業と染め物が盛んなせいか、 わりあいに豊かで穏やかな暮らしをおくっている、四国の小さな藩。 そこへ江戸から身分のある罪人が流れてくることになり、 人々のささやかな日常が闇にとらわれていく…。 これ、タイトルの孤宿の人って、 その流罪人である加賀様のことだと思うんですけど、 上巻でいっさい姿をあらわしませんねん。 すべて伝聞。 こういう人らしい、あんなことをしたらしい… そうして「人の姿をした鬼だ」という噂が城下に広まりつくして… 下巻で事件は起こるのです。 芯をになう主人公はふたり。 覚えのにぶい、しかし真面目で気持ちのやさしい「ほう」と、 正義感が強くて知恵が働き、 しかし、それを生かす場所を与えられずにくすぶる「宇佐」と。 宇佐はほうを妹のようにかわいがり、ほうも宇佐を姉と慕って、 一時は同じ屋根の下で寝起きをともにしたふたり。 けれどこの小藩を覆いだした暗雲のせいで、 ほうは加賀の屋敷に「連れ去られ」てしまうのです。 宇佐がほうと幸せになりたいと奔走する中で、 まわりがどんどん不幸へ、不幸へと転がっていくのがつらいです。 その誰もが幸せを望んでいるから、よけいに。 『模倣犯』の時も思ったけど、宮部さんの小説は、 普通の人が巻き込まれていくのが描かれていて、本当につらい。 そして、つらい中に一条の光を感じたりもするのです。 ちなみに、上巻の装画がとっても素敵です！