墨攻 ★監督 ジェイコブ=チャン
★脚本 ジェイコブ=チャン
★音楽 川井憲次
★原作 森秀樹(漫画)酒見賢一(小説)『墨攻』
★データ 2006年、中国・日本・香港・韓国、2時間13分
  
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10万の敵にたった1人で挑む はー。久しぶりにミーハーじゃない映画の楽しみを知ったというか…。 しかし、基本的にはハッピーエンド派なんで、 こういうツラい映画は一年に一回で充分だ。 かつて中国に本当に存在したという、伝説の戦闘集団・墨家。 決して自らは他に攻め込まず、守りに徹するのが彼らの教義。 本来は非戦がモットーなのに、 戦いを止めるためには戦わざるを得ないジレンマを抱えてもなお、 それを実践する彼ら。 その墨家の徒で、こむずかしい顔ばっかしているおっさん・革離が本編の主人公。 対するは大国の名将軍・巷淹中。 アンディ=ラウとアン=ソンギという香港・韓国の有名俳優の競演ですが、 私は二人ともこの作品が初。どっちも渋くてカッコいいなぁ。 この二人がまた実に智力を尽くして戦うもんで、 逆に味方の人間の姑息な嫌らしさが見えてくる。 特に革離を頼ったくせに切り捨てる梁王の小ものさ加減に腹立ちまくりである! 若き王子が最初は革離に反発していて、 後半志を同じくするのは若者らしい柔軟さゆえの変節だが、 父親は最初から最後まで保身のみである〜っ。うきー。 ちなみに、すっかり革離に心酔して「一緒に旅に出たい」という王子に、 革離は「そう思ってくれる人間が王である国が存在することの方が嬉しい」 みたいなことを言って、思いとどまらせるのだ。ええのぅ…。 もちろん、上の人々だけではなく、 戦いに巻き込まれた庶民の姿もきちんと盛り込まれてて、 ひで〜な〜と思うことしきりです。 墨家は禁欲的な生活がモットーなので、原作にない女近衛隊長さんが粉かけても、 全然なびかないかと思ったけど、ちょっと心動かされてましたね(笑) でも、それが、原作より少し革離を人間臭くさせてて良かったかな。 やっぱり墨家思想はあくまで究極の理想論で、 現実にはそんなうまくいかないんですよね。 わかっているけど、理想を貫こうとして生きた彼らの葛藤を感じるだけでも、 自分の中に何か残るものがある気がします。 日本の小説をもとにした漫画をもとにした、 韓国と中国と香港と台湾の役者が演じる映画。 すごいアジア・ワールドワイドな連携が可能な時代になったものです。 あ、王子と弓の名手の青年、二人ともそれぞれ韓国と台湾のアイドルだそうですが、 なかなか見分けがつかなくて苦労したわ…。

★主な配役
革離  アンディ=ラウ 巷淹中 アン=ソンギ 梁王  ワン=チーウェン 梁適  チェ=シウォン 逸悦  ファン=ビンビン 子団  ウー=チーロン