次代の王のため 並び立つもののないようにするのが国の定めなのか。 フィゼルワルドの第三子にして唯一の王女・ヴュティーラは 二度と王国に戻らない決意を胸に秘めて旅立った。 目指すは、この大陸の南で〈機械〉を産む都市、テ・クラッド。 この国の人々には産まれた時からともにある 〈連獣〉ってのがいるらしい。 ところが、ヴュティーラの〈連獣〉は旅に出た途端、 姿を隠しちゃう。 クィンティーザってのは、その鷹の名前です。 どうやらヴュティーラには王女であるという以外に なんか謎が隠されてるみたい。 旅の途中で彼女を助けてくれた少年ナイザ、 なぜか彼女を嫌う少年カジャ、 不思議な占い師の少女アキエらとの出会いを経て ヴュティーラは南へと向かう…。 ああっ、もう、この名前の発音しにくさ、なんとかならんか（笑） 魔法を中心として回っていた世界が、 ちょうど機械に取って代わられていくという 舞台背景はおもしろいです。 そんな世界にいるのに、主人公が「機械オンチ」ってのも。 とりあえず、物語のプロローグ的な巻ですね。

テ・クラッドへ向かう旅の途中で、 ある町の神事に参加せざるを得なくなったヴュティーラとナイザ。 仕方なく成り行きを見守ることにしたものの、 参加者の中に、あのアキエの姿が見えて…。 アキエとカジャは ヴュティーラ達とは違う目的で旅を続けていたけど、 カジャの知らないところで、アキエには何か使命があるみたい。 でもって、ナイザも明らかになっていない秘密を抱えていて…。 今回のタイトル〈エズモーゼ〉は神事の主役である神の名でした。

なんだかんだあったものの ようやくテ・クラッドについたヴュティーラ達。 けど、そこがすべての始まりになると期待していた彼女に対して テ・クラッドの為政者の反応は けっして望んでいたものではありませんでした。 実は、この機械都市と上層部と深い関わりのあったナイザ。 ひとり孤独を深めるヴュティーラに 帝国の皇太子エストゥーサが近づき…。 うわ、また新しいキャラが増えた〜。 だんだん話がでかくなってきましたけど、大丈夫かいな（笑） あと、ヴュティーラが嬉しがっていたテ・クラッドの図書館… 頭で考えた読みたい本のところにつれていってくれる装置なんて！ いいけど、サーフボードみたいに乗っかって空中を移動するとは、 高所恐怖症の人間には考えられない仕様ですこと！

レオン？？　あ、１巻に出ていたヴュティーラの従兄か！ 彼女がエストゥーサについて帝国へ移ったとも知らず、 母国を出て、後を追ってきたものの、 そこで再会したのは弟の方だった。 おお、そういえば他に王子がいたってのも忘れてたぜ。 王位継承の争いに巻き込まれたくなくて 旅に出たヴュティーラなのに、 別の国での争いに巻き込まれるなんてねぇ。 なんだかきな臭くなってまいりましたよ。

ヴュティーラ、ナイザ、カジャ、そしてアキエ…。 ４人の少年少女を結びつけていた運命が、 ようやっと明らかになりました。 それは〈星〉という名で呼ばれる大きな力の証し。 かれらはそれぞれに助言者を得て、 自分の果たすべき役割を知ります。 帝国とテ・クラッドの反目が、やがて大きな争いとなり、 ヴュティーラの祖国にまで暗雲が立ちこめようとしていることも。 ある者たちは故郷を守るために何ができるのかを考え、 ある者たちは失った故郷を思う…。 って、ここで第一部・完っすか！ まあ、ヴュティーラをとりまく謎がある程度解決したし、 ひとつの大きな陰謀は潰えたけどさ〜。 まだまだ越えなきゃならん山があると思うんですがねぇ。 いつか続きが出たら読んでみたいな。