翔、すまない。 私はどうしても君の名前を「かける」とは呼べないのだ。 ゆるせ「しょう」（笑） というわけで、 和名城翔クンは平穏な高校生活を送っていたのですが、 ある日突然、異世界からの使者がやってきて、 彼がその世界の王位継承者 「リダーロイス」王子だってんだから、びっくりさ。 こういう話の主人公は『はてしない物語』みたいに 現状に不満を持ってるのが多いけど 翔はそうでもないなぁ〜。 わりあい明るく前向きです。 ていうか、動揺しなさ過ぎじゃないのか（笑） まあ、幼い頃の記憶がどこかにあるから …ってことなんでしょうけど。 偶然のいたずらで、こっちの世界の人なのに あっちまで連れてかれちゃうヒロイン・夕香里は いい感じです。 いま自分にできることをする、ていうタイプの女の子だね。 お約束のようですが、 若き王子を支える忠実な家臣どももおりますので。 剣と魔法の入口に足を踏み入れてみてくださいませ。

本編とはあんまり関係ないようだが、私は好きなお話。 旅に出て、人ン国の騒動をおさめるなんて、 ちょっと『水戸黄門』してるんだもん〜（笑） ゲストキャラのアレムもいい奴だったし。 リダーロイスの母親の王妃メイヤーリダム様もいいですねぇ。 いまだに亡きロイフルラング王を愛しているんだなぁ …って感じが、すごく好き。 さて、今回出番のなかったヒロインは、次巻は出てくるのかしら？

この題かっこいい！ お待ちしておりました、王女フロルメイ。 いることはわかってたけど、なかなか出て来なかったもんね。 ところで翔は元の世界に戻って王子として覚醒しても 〈地の文〉が「翔」表記のままなのに、 なんで青夏は「フロルメイ」に変わるんだ？？ こういう異世界ものでは、造語も楽しいよね〜。 メイヤーリダムの意味が「暁に向く花」で フロルメイが「真実に咲く花」なら、メイ＝花…かな。 夕香里ちゃん、再会できたと思ったら、 またさらわれちゃったよ！

一気に後半３冊読破！！ …なんですけど、前巻でさらわれた夕香里の件はおいといて、 一冊まるごと、過去に飛ばされちゃったリダーのお話なのだ。 でも関係ないようにみえて、 ここいらから巧妙に伏線が張られていたのね〜と、 最終巻まで読み終わった後で思いました。 しかし、内容的には今までで一番シリアスかも。 領主の家に生まれ、 誰よりも早く「大人」にならざるを得なかった ひとりの少女の悲哀に胸をつかれます。

３巻から登場した火と風をあやつるスタードラゴン君は、 悪さの仕方が子どもっぽすぎてイマイチ。 あ、でもイラストに描かれている彼の、 洋服につけている装飾品が ちゃんと母親と同じだったりして。 そういうところ細かくていいわぁ。 ずーっと放っておかれたウサを晴らすかのように、 夕香里が大活躍です。 おとなしく囚われの身でいるような女の子じゃないのだ。 と言っても、荒事を起こすわけじゃなくて、 精神的に魔女エマと渡り合うわけ。 お見事です。

「疲れていると、ちょっと口にうれしいだろ」 なんじゃそりゃーっっ（笑） というわけで、リダーロイスの物語、これにて完結。 ６巻通して読んだら、エマが一番好きでした。 だから、やっぱり竜の長老たちは許せないわね〜。 ファンタジーだと思って読んだけれど、 歴史の改変問題というＳＦっぽい要素も入ってたな。 いろいろ悲しい結末になったけれど、 最後が 「王子様とお姫様は幸せに暮らしました。めでたし、めでたし」 で終わったのは良かったです。 この表紙のイラストを見れば一目瞭然ね！