ええなぁ、男の子って！　アホアホだけど、真剣なんだ。 ５年生の夏休み…引っ越し前のモヤモヤを吹き飛ばすかのように 見晴（みはる）少年は、 近所の下級生・アキラを誘って大冒険を決行。 それは、彼らの住む町にそびえ立つ鉄塔・武蔵野線を おおもとまでたどって原子力発電所まで行くこと。 チャリで、ですよ。小学生が。一日で行けるわけないやん！ さらに、ただ訪ね歩くだけでも大変なのに、 二人は「鉄塔の下に王冠を置いこなければならない」なんて 自主ルールまで作っちゃって…。 空き地に建ってるならまだしも 街なかでは囲われているところもあるのに。 案の定、大人に追っかけられたり 次はどっちが実行するかでケンカしたり。 でも、彼らは信じてるのだ。それが壮大な使命であると。 鉄塔に対する愛は、ま、半分くらいしか理解できへんけど その子供らしいエネルギーの発露には心打たれます。 日が暮れて、夕闇がせまる中、 必死に次の鉄塔をめざす二人の会話なんか ちょっと涙腺ゆるんじゃったよ。 ちなみに、この小説、 単行本と文庫本はちょっとだけ結末が違います。 文庫本で読んだあと、単行本を立ち読みしてみたけど、 私は文庫本の結末が好きです。 あっさり終わるのが逆に胸にしみるな〜。