映画にもなった、クリスマス絵本の定番の一冊です。 なんといっても絵がすてき。 やわらかいパステルで、しっかりと描かれた町並み、 夜汽車、楽しそうな子供たちの顔！　 私は特に少年が自分の家に帰ってきて、 北極号を見送るシーンの絵が好きです。 汽車の放つあたたかな灯りが、 少年の家の中をぼんやりと浮かばせている…。 しんしんと降る雪の音まで聞こえそうな、 静謐なその空間。 クリスマスらしい、 おだやかな気持ちにさせてくれます。 もちろん、物語もすてき。 少年の友達はサンタクロースを信じなくなるお年頃。 信じていたい少年は、 北極点行きの急行に乗り込むことができた。 車内には同じような子供たちがたくさん乗っていて、 クリスマスのお菓子を食べたり、ココアを飲んだり。 やがて北極点に着くと、そこにはサンタがいて、 ひとつだけ欲しいものをくれると言う。 少年が選んだものはトナカイのそりに付いている鈴。 これはなかなかやるねぇ…。 私の思うに、証拠品ってことじゃないの？ サンタに会ったんだよ、本当にいるんだよって。 けれど少年は、 結局その鈴を途中でなくしてしまうのです。 最後にもうひとひねりありまして、 終わり方もすごく私好み。 子供たちが飲んだような 「チョコレート・バーを溶かしたみたいに とろりと濃くて香ばしい」ココア片手にご一読を。

Ｇペンでガシガシと大胆に描いた線に、 あざやかな秋の色。 黄色やオレンジ色などの 暖かい色がたくさん使ってあります。 青空の青も、冷たい冬のそれではなく、 明るい秋の空。 夏の終わりから秋が過ぎて、やがて冬がくるまでの 暮らしのなかのあれこれを綴った一冊。 収穫の音、踏みしめる落ち葉、美しい紅葉、 ハロウィンの仮装で走る子供たちの姿、 そして、すべての恵みに感謝する 夕べの食事が始まります。