ハロウィーン・パーティに向かう途中、 小鬼を見かけたファラディは、 ついつい後を追って森の奥深くに入り込んでしまう。 そこでは、今まさに魔女たちのパーティが始まるところ。 小鬼や大鬼もたくさん集まっています。 小鬼や大鬼の中には「子供」もいて、 彼らはかくれんぼをして遊びだしました。 木のあいだに隠れていたファラディも、 やっぱり見つかってしまいます。 さて、ここがハロウィーンの魔法なのか。 あやうく大鍋でスープにされそうになったファラディが、 めちゃくちゃな呪文を唱えたところ、 なんと鍋の中にコウモリのスープがわいて出たのです。 おかげで命拾いして、 帰りには小鬼のおかあさんに、 黄金のコガネムシまでもらったファラディ。 魔女のほうきで、本当の目的地だったパーティ会場まで 送ってもらったのでした。 全体に黒を基調にした画面のなかで、 かがやく月の黄色や、 あかりの灯ったかぼちゃのランタンが映えます。 小鬼や大鬼もわらわらといて、 こわいんだけど何だか楽しそうなのよ〜。

『魔女たちのパーティ』と対をなすかのような一冊。 ただし、こちらはお話のほうも 絵を描いたエイドリアン＝アダムズが作っていて、 私はこちらのほうがより好みでした。 ハロウィーンを間近に控えた魔女たちの悩みの種は、 森のそばにも人間が住むようになってきて、 だんだんやりにくくなってきたこと。 「でも子供たちはちがうわ」というわけで、 子供たちに招待状を送ったら、 さっそくパーティの準備が始まります。 招待された子供たちの、 ちょっとドキドキしている気持ちとか、 招待した魔女たちの、 本当に楽しんでもらえるかしらという不安。 それがすごく、いい感じです。 こんなハロウィーン・パーティなら行ってみたいな！ ヒキガエルのタルトは食べたくないけどね〜。 ちなみに、この本も黒を基調にした画面のなかで、 暖色系の灯りが心を落ち着かせます。 この絵描きさんの特長なのかしら。

ハロウィーンの日、 おかしをもらいに街に出たヘレンと犬のマーサ。 前を歩いていたおばあさんが 何かのサービス券を落としたので、 渡してあげようと後を追いかけると… おばあさんは見たこともないような スーパーマーケットに入っていった。 中に売られているものも、ちょっとヘン。 くさった卵に、どくきのこ。 おまけに店内は猫だらけ。 「マーサが猫の仮装をしていてよかったわ」 で、めざすおばあさんはというと、 なんと店の片隅で新しいほうきを物色中！ ようやくマーサは、 ここが普通のスーパーじゃないことに気がつきます。 欧米では、魔法使いや魔女って、 こうして街の人に交じって普通に生活していると 考えられているのかなぁ。 それがハロウィーンの日には、 なぜかフッと正体を現してしまうものなのかも。 みんなが仮装しているから、 本物がいても気にならないのね、きっと。

マンヒは韓国の都会に住む男の子。 手狭になったマンションから、いなかのおじいちゃんの家に お引っ越しすることになりました。 この絵本は、新しい家に引っ越してきたマンヒが、 家の中を紹介するかたちをとって 韓国の暮らしを描いています。 日本のいなかの家にもある座敷や納屋、 韓国ならではのチャンドクテという保管場所 （コチュジャンガメなどを置いておくところらしい）など 似ていて違うのがおもしろい。 　げんかんのとびらのうえに 　あたまがみっつある　タカのおふだをはってるでしょ 　「いいことがありますように」って 　おばあちゃんがはったんだって 幸せそうなマンヒと家族の笑顔がステキな一冊です。