久しぶりに読み終わった後、 憑き物が落ちたようにスッキリしましてよー。 自分の考えてた犯人じゃなかったという不満はあるものの、 それはいつものことなので（笑） 解説にもあるように、この著者の二大シリーズのうち、 蘭子シリーズはすべてが直球。 対するサトルのシリーズは、 一見お軽いご当地ミステリのようでいて、 実はやっぱり直球なのよね〜。 で、肝心の事件のほうなのですが。 ある孤島の西洋館に所蔵されている美術品の 鑑定を頼まれた美大のサークル生たち。 一週間の予定で島に上陸しますが、 ひとつの事件をきっかけに、 ひとり、またひとりと殺されていきます。 クリスティーの『そして誰もいなくなった』のように…。 西洋館にあふれる豪奢な調度品と、 醜悪ともいえるトリックアート、 そして見え隠れする館の所有者の悪意。 果たして彼らは殺人鬼の手から逃れ、 迎えの船が来るまで生き延びることができるのでしょうか？ もう、ほんと王道でしょ。 ちなみに美大ネタなので随所に 絵画や美術史のウンチクがばらまかれています。 一番年下のシオン君っていう子が、先輩たちの話にすぐ 「知らなかった！」って驚くんだが、 私もいくつか一緒に驚いてました。 ま、まぁ、知らなくても犯人はわかるようになってるし（汗） 美しいものに囲まれすぎると、 どこかを壊してみたくなるのでしょうか。 などと観念的な殺人を装っても、 しょせん犯罪は俗なものなのでございます。

前回、奇跡島事件で知り合ったシオン君から 「彼女の悩みを聞いて」とたのまれた大学生のサトル。 その彼女…宣子は「幼い頃に宇宙人に誘拐された」 という記憶を持っていた。 さらに最近働き始めた老人介護施設で、 同じように宇宙人にさらわれた記憶を持つ老女がいたのだ！ この記憶は本物なのか？　この世に宇宙人は存在するのか？ それとも…？ すっごいネタフリですけど、 絶対に「夢オチ」では終わりませんので（笑） 人間の記憶がいかにすり替えられるか…それも、無意識に… というのが、今回の事件のミソです。 宣子の話を聞き、彼女の養母の不審死の調査を始めた途端、 サトルたちは、見張られているのを感じる。 そして、彼女が育った養護施設の院長が殺されるにいたって、 いよいよ彼女の記憶の中に、 隠された秘密があると確信するのですね〜。 サトルの奇人変人ぶりを見るだけでもすごいのに、 宇宙人がらみで先輩のブタモさん （社会人編『名探偵水乃サトルの大冒険』に登場） たちが出てきて、大真面目に「UFO論」をぶつもんだから、 うんちくも倍（＾□＾） ソレモマタタノシ。

なんで出版社変わったんだ？ 本棚に並べる時に背表紙が違っていてヤだ！ 大学生サトルの方のシリーズですね。 ＜手塚治虫愛好会＞は年齢も職業も バラバラな人間が集まったサークルで、 まぁ、今でいうオフ会みたいなのを開いて交流を深めていた。 ある日、その会長が自宅で自殺に見せかけて殺害され、 金庫に保管されていた稀覯本が盗まれた。 果たして犯人はサークルのメンバーなのか！？ …って、どう考えても登場人物限られてるから、 あれなんですけど。 一瞬「古本屋の親父が犯人か？」とか 世迷いごとも考えましたが。 おもしろくは読めましたが、 はじけっぷりは社会人の方がすごいかな。