かつて人とエルフとドワーフと ドラゴンに選ばれしドラゴンライダーという人々が 共に住む世界があった。 しかし、一人のドラゴンライダーによって世界の均衡は崩れ ドラゴンは死滅し、長い争いの世に移っていたのだが…。 実に王道なファンタジー３部作開幕です！ ３つの種族がそれぞれ仲が悪いのも、 主人公がひょんなことからドラゴンの卵を手に入れた 普通の少年なのも、 デジャヴを感じるくらい王道な展開ですね。 しか〜し！ そこにはやっぱり、最後まで読ませてしまう何かがある。 特に主人公のエラゴンが孵した卵は雌のドラゴンで 最初はエラゴンに守られなくてはならない小さな存在だったのに あっというまに成長して、いっちょまえに他人に嫉妬してみたり、 時には母親のような言葉をかけてみたり。 まるで疑似家族を形成しているのがおもしろい。 それと、決して勧善懲悪な物語にはならないだろう…ということ。 ドラゴンを滅ぼしたのは、ドラゴンを守るべきライダーだった。 つまり、絶対悪の存在があるわけではなく、 欲にかられて悪の道に陥った同じ「人間」が敵なんです。 ということは、 いまや世界を揺るがす力を持つエラゴンを取り巻く人々の 誰もが彼を裏切る可能性がある。 そんななかで彼は、自分自身と闘いながら旅を続けていくのです。 ドラゴンを手に入れたことで祖国を追われ、 ようやく砂漠のはての反乱組織の砦にたどり着いたエラゴン。 第１部はそこで終わり。 次はたぶん、謎多きエルフの国へと旅立つのでしょう。 まだ出生の秘密もあきらかになってないしさ〜。

いや〜、おもしろいっす！ 映画を観てキャラが確立できたから なおさら早く読めるようになったわ。 持ち歩くには重いのが、たまに傷よねぇ…。 第２部も期待を裏切らない展開です。 こうなるんじゃないかな？と思ったようなことが だいたいその通りになるんだけど。 それが「ありきたりでつまんない」かというと、そうじゃなくて 「やっぱりぃぃぃ！」という喜びなのよ。 そうだろ、そうだろ！っていう感じの。 特に主人公のエラゴンに関して言えば、 英雄視されることへの自負ととまどいの中で どんどん新しいことを吸収して成長していくし、 エルフのアーリアに対する淡い恋心が どんどん押さえられなくなっていくし、 世界を変えてしまう程の秘密（と自分の出生の謎）に どんどん悩みを深めていくし…。 それでこそ主人公！ 第２部に入って増えた脇役も魅力的。 旅の仲間でドワーフのオリクあたり、ぜひ友達にしたいねぇ。 注目すべきは、 エラゴンとサフィラが“祝福”をさずけた少女エルヴァ。 姿形は幼子なのに、言動は大人。 私の中のイメージはすっかり 映画『デューン』のエイリア・アトレイデ。 彼女がどうエラゴンの運命に関わってくるのか、楽しみ。 王道でないところを上げるとすれば、 従兄ローランの物語が並行して書かれているということか。 なんか知らんうちに自分の家が壊され、父親は殺され、 従弟は理由も告げんと行方不明で それだけでもショックは大きいのに、 その従弟を捕らえるために自分や村人まで命を狙われる。 ローランにしてみれば「エラゴン憎し！」だわな。 そういえばファンタジーものに 「英雄は敵から身を守るため、村から出て行きました」 系のストーリーは多いけれど その後の村の話を書くことはあまりないな…。 だって、主人公の足跡を追うのが本筋だからね。 でも、確かにこのカーヴァホール村のように、 主人公への報復のためにひどい扱いを受けるというのは、 現実の世界ではあること。 それをしっかり書いてるから、読み応えがあるんだと思う。 そして一番のポイントは、第２部のタイトルだ。 最初（第１部）に「残されたドラゴンの卵は３つ」あって、 物語も３部作である…とあきらかにされているのだから、 １部につき１つの卵が孵化するっていうのは わかりそうなもんなんだけど（笑） やっぱりあんたか〜！ どうして「エルデスト」なのか、わかるのは最後の最後です。 がんばって読んでねん。

待ったわ〜。 あんまり間が空くものだから もしかして出版してくんないのかと心配しました。 しかも、３部作の予定が４部構成になりました…ですと！（笑） 物語も佳境に入って やたらと戦闘シーンが多いのは仕方のないところ。 でも、最愛の女性カトリーナを助けるために命を張った ローランの戦いは見事。 この物語で唯一ホッとする部分というか 普通にラヴラヴな二人なので♥ 「ただの人間」なローランが地道に武功を上げていく姿にも 励まされます。 こうと決めたら引かない性格は、従弟と似てるけどね〜。 主人公も頑張りますよ。 あれよあれよという間に 対帝国のヒーローに祭り上げられたものの 種族が違うと反感もまだ残っている。 そんななかでドワーフの王を決める会議に 列席することになったエラゴン。 旅仲間のオリクを王に推薦したいのはやまやまだけど ライダーの威力で無理強いもできず…なんて悩んでいるのに、 そんなことはおかまいのないオリクとは別の部族のドワーフに 「種族の和を見出すヨソモノ」として暗殺されかかっちゃう。 基本、児童書コーナーに置いてあると思うこのシリーズですが、 このあたり「政治的な掛け引きの大変さ・嫌らしさ」が 描かれていてちょっとすごいな…。 あと今回も、かわいすぎるサフィラ〜！ 任務のためエラゴンと別行動をとらなければならなかった時の 淋しくってイライラしちゃう！なところとか、 やっと逢えるとわかった時の、休んでなんかいられないわっ！ 息を切らして飛んでっちゃうわよっ！なところとか。 そのくせ、近くにいる時は 姉さん女房のように小言を言ったりして（笑） 本当に面白いです（＾０＾） 空を翔んでいる自分にうっとりして 「こんなに美しいいきものはいないわ」 なんて悦にいっている彼女もチャーミング。 さて、第３部のタイトル、やっぱりとても意味のあるものでした。 はじまりの村で弟子と師匠の過ごした日々が、 ここにきて、ひとふりの剣として結晶した…という感じですね。 今までの借りものの名剣ではなく 彼自身のためだけに鍛え上げられた剣。 それを手に入れて、いよいよ帝国との最終決戦です。 できれば第４部は早めに出版してね〜！

「できれば第４部は早めに出版してね〜！」って書きました。 あれから３年…待ったわ〜。 しかも、版元まで変わってるし（笑） 完結編なので、いよいよ敵の総本山に乗り込み。 映像を見ているかのごとく流れるような 戦闘シーンは、適当に斜め読みしました（おい） だって、傷の描写とか、結構リアルに書いてあるんだも〜ん。 なんか、巻を追うごとに王道な悲恋が増えてないか？ エラゴンは１作目からず〜っと エルフのアーリアに片思いしてたけど、 敵側の人間だった兄マータグまで ロミジュリ的な「つらい恋」に落ちる始末。 さて、最後にどうおさまるか。 ファンタジーらしい結末でした。 ずっとつきあってきて、なかなかに読み応えのある物語でした。 『指輪物語』に近い世界観だけど もう少し現代風というか…RPGっぽいので とっつきは良かったです。 あとはイチにもニにも私にとっては ドラゴンのサフィラが可愛かったから。 （今回、サフィラにも恋バナがあるのよぅ！） 上下巻あわせて千ページ越えの分厚さですが なにより驚いたのは まぁ書いてもネタバレにはならないだろうけど （そこは予定調和だとおもうので） 最後の敵を倒した後の物語がまだ180ページも残ってたことだ。 普通ラスボス倒したら「めでたしめでたし」で終わりでしょう。 でも、この話は 一つの目標のために結束していた団体が 目的を達したあと崩れることもある ということまで書いちゃってるの。 英雄になった者が、どうやって戦いの後始末をするか…。 そこまで見せてからの大団円。 長いことつきあってきただけの満足は得られました。 しかし、できれば短い期間でガーッ！と はまって読みたかったかなぁ。 そういう意味では今から読みはじめるといい？