海外旅行がめずらしかった時代に、 シベリア鉄道で旅した三人の女流作家、 与謝野晶子・宮本百合子・林芙美子。 その足跡をたどる旅をしながら、 著者自身がいだいたロシアの現在の印象も おりまぜて綴られます。 芙美子さんの『下駄で歩いた巴里』を読んでいたので、 太平洋戦争より少し前のロシア旅行の 大変さみたいなのは知ってたけど、与謝野晶子は、 それよりさらに前の時代に行ってるからスゴイ！ まぁ、当時は陸路か航路しかなかったので、 少しでも早くヨーロッパに行きたきゃ （だんなに会いたかったらしい） シベリア鉄道を選択するのが妥当だったようですが。 「百合子」は、私てっきり武田百合子かと思ってました。 著者は彼女の『犬が星見た』も持ってって、 寝台で読んでます。 他にも望月百合子さんが登場したり、百合子だらけだ。 で、宮本百合子の場合、 同行者もいて目的地がロシアだったから、 晶子の印象とはまた違っていたみたい。 それからロシアがらみで、 米原万里のことも少し書いてました。 他にもロマノフ王家の話とか、 いまのロシアの市井の暮らしぶりなど、 わりと話があっちこっち飛ぶけど、おもしろい本でした。