|
★作者 | コニー＝ウィリス |
| ★訳者 | 大森望 | |
| ★出版社 | 早川書房 | |
| ★データ | 2004年4月刊 | |
| ★ISBN | 4-15-208553-3 | |
| ★分類番号 | 933（文学：アメリカ） | |
| Amazon.co.jpで詳細を確認する | ||
タイムパラドックスＳＦなので、ストーリーの説明が難しいけど、 とにかくおもしろかった！ めちゃ長かったが、後半はさくさく進んで長さが気にならず。 前に『ボートの三人男』という小説を読んでおいたのだが、正解。 知らなくても本筋には関係ないけど、ところどころパロディになっている。 「うひひ」と笑いたければ、先に読んどくといいっすよ。 さて、主人公は未来社会のオックスフォード大学・史学科学生ネッド君。 この時代はタイムトラベルが実現していて、研究目的でバンバン使われてる。 ただ、過去から何かを持ち帰ってくることは不可能だと思われていた。 大学のスポンサーの命令で過去への「降下」を繰り返していたネッドは、 ついに時差ボケならぬタイムトラベルボケを発症。 スポンサーに見つからないで精神を休ませることができる場所… 人々が、と〜ってものんびり暮らしていたらしいヴィクトリア朝へ避難。 ところが、その直前、同じ史学科の学生が過去から何かを 「持ち帰って」きて事態は混乱！ その混乱を収拾する任務がネッドに与えられたのだが…。 彼はきちんと指令を理解せずに「降下」してしまうのだ〜。 そこから同じ任務を受けた女学生ヴェリティに会うまでの章は、 本当に『ボートの三人男』のごとく船遊びシーンが続いてのどか。 正直、ちょっとタルいくらいの進み具合ですが、 ちゃんと伏線が張ってあんのよね…読み終わってわかったわ。 さて、任務はある貴族の子女とＣで始まる男性を結婚させること。 （そうしないとパラドックスが発生するらしい） なのに彼らの思惑から大いに外れ、その娘が違う男性に恋したから大変！ ネッドとヴェリティは無事に二人を別れさせられるのか？ Ｃという男性はいつ現れるのか？ なんて、ＳＦのくせにミステリ要素も強いこの作品。 特にヴェリティは「19世紀のミステリ」を読むのが大好き。 なので、ネッドに会うなり「ピーター卿とハリエットみたいだわ」 てな台詞も飛び出して、私の顔をにやつかせてくれます。 ネッドもネッドで本物の執事を見て「ジーヴスみたい」とか言ってるし。 本当にもう、いろいろと楽しい作品でした。 同じ本を元ネタにして書かれたミステリ『絞首台までご一緒に』もおもしろいですよ。