| ★作者 | ジェローム=K.ジェローム |
| ★訳者 | 真由子・Ｖ＝ブレシニャック、中野泰子、中野武重 |
| ★出版社 | 中央公論社 |
| ★データ | 1976年7月刊 中公文庫 |
| ★ISBN | 4-12-200351-2 |
| ★分類番号 | 933（文学：イギリス） |
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小説というより空想旅行記のような作品。 友人二人と、ついでに犬を一匹つれて 約二週間のテムズ河くだりに乗り出した男が主人公。 彼の語りで話が進むのですが、一方通行の船とうらはらに、口述は行きつ戻りつ。 まず旅行前の準備に取りかかったところから、 そういえば前の時はこんなものを持っていったとか、あれはいらなかったとか。 いざ川下りを始めても、あの時はあんなことがあったとか、 あの景色を見ると誰それを思い出すとか。 どっかで読んだことのあるこの感じ…。 そうそう、ニコルソン=ベイカーですわ！ 基本の物語すじより枝葉が多いところが、そっくりだ。 19世紀の作品なので、こっちの方が先ですがね。 そんなわけで、大きな事件は起きないけれど、小さな事件は章ごとに起きるこの小説。 自分も一緒にボートに乗っているつもりで、 のんびり読むのもいいかもしれません。 ちょっとおもしろかったのが、アンティークに関する考察。 自分たちが普段使いしているティーカップなんかが、 100年もすれば骨董品として売られているんじゃないか、って考えるのね。 それで「日本からの観光客がみんな買い上げて、エドへ持ち帰ることになる訳だ」 …すばらしい（笑）よく見抜いてたものです。 この本を元ネタにして書かれたＳＦ『犬は勘定に入れません』と ミステリ『絞首台までご一緒に』もおもしろいですよ。